九谷の人気画風「青粒」とは【三代 仲田錦玉】

仲田錦玉 香炉

 

九谷焼が誕生して約370年、これまで実に様々な画風が生み出されてきました。

時代ごとに流行の画風があり、その変遷も九谷焼の魅力となっています。

今回はそんな九谷焼の画風の中でも人気の高い「青粒」(あおちぶ)をご紹介します。

 

当初、青粒(あおちぶ)はアクセントのように使われる「脇役」の技法でした。

(※「つぶ」が訛って「ちぶ」と言います)

この技法を芸術の域にまで押し上げ、九谷焼を代表する画風のひとつとして確立したのが二代・仲田錦玉氏です。

錦玉氏の作品でベースとなっているのは「金盛技法」「青粒技法」という二つの技法です。

 

仲田錦玉 金盛技法
紋様部分をベンガラなどで盛り上げて描き、その上に金などをのせる「金盛技法」

 

仲田錦玉 粒打ち
イッチンと呼ばれる特殊な道具を用い、渦を描くよう一粒一粒が精密に打たれる錦玉氏の「青粒」

 

【金盛技法】

文様部分をベンガラなどで盛り上げ、その上から筆で金や白金を塗る技法。

漆芸における「高蒔絵」にも似た、立体的表現が可能な技法です。

明治15年に金沢の清水美山が始め、明治から大正にかけて九谷焼で盛んに使用されました。

二代錦玉氏は、この技法を吉崎東山氏から学び、さらに独自のものへと進化させました。

 

【青粒技法】

九谷焼の歴史をまとめた「九谷焼330年(昭和61年・九谷焼資料館刊)」には

”青粒・白粒・金粒は大正元年頃から、細点を密集して地色の上を彩る風が能美・金沢の絵付けに広がる”

という記述があり、大正時代になってから始まった比較的新しい画風のようです。

これまで唐草などの隙間を埋めるよう無秩序に打たれていた粒ですが、錦玉氏は粒の大きさや間隔を計算して緻密に打つことで、立体感のある唯一無二の表現を実現しました。

 

二代錦玉氏は平成25年に惜しまれつつも亡くなられましたが、その技は三代・仲田錦玉氏が継承し、より磨きがかかった細密さと洗練されたデザイン、そして白金(プラチナ)を使用した「白金盛」を確立するなど、新しい「金盛青粒画風」の世界を切り開いています。

 

仲田錦玉 絵付風景
気が遠くなる程の緻密な絵付けを行う三代・仲田錦玉氏

 

仲田錦玉 桜 酒グラス
余白を上手く使った粒の表現。青粒と対になる「白粒」も清らかな味わいがある

 

店頭でも錦玉作品の人気は高く、ファンのお客様は「一度手にすると次々とコレクションしたくなるような魅力がある」と仰ります。

また鏑木ワイングラスシリーズの中でも男女問わず人気があり、ハイクラスのプレゼントとしてもよく選ばれています。

錦玉氏の作品でノーブルな気分に浸ってみては如何でしょうか。

 

三代・仲田錦玉氏の作品はこちら

グラス・盃以外の作品はこちら